JACK OAT

JACK OAT

所要時間約30分

祐磨(ゆうま) 便利屋。基本やる気ない。

真夜(まや) 家出娘 なにか事情があるようだ。

玲子(れいこ) 真夜の母、とても優しく美しい。家出した真夜を探すため祐磨に依頼した。

四月一日(わたぬき) 情報屋 独特のしゃべり方で話す祐磨の仕事仲間。


↓こちらは上演時にお使いください。

JACK OAT

作:速見誠人


祐磨:

真夜:

玲子:

四月一日:


https://seito910.theblog.me/posts/38317238

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玲子:あの、こちらで何でも引き受けてくれると伺ったんですけど…

祐磨:…んあ?


やるきのない無精髭の男がドアから顔を出す


玲子:あ、いやあの…ここなんでも屋ですよね?なんでも引き受けてくれるという…

祐磨:まぁそうなってるみたいね…

玲子:え?

祐磨:いや困るんだよね~なんでもって言っても限度があってさぁその限度超えたらできないよ。

世の中なんでもやりま~すなんてのあるわけないじゃん、そんなのいちいち引き受けてたらめんどくさいったらありゃしない。

玲子:は、はぁ…

祐磨:でもさぁお客様だからね、金を運んでくれる人。この前もね~ダンプカーを100台持ってきてとか無茶苦茶な事言われたんだよ。え?待って無理でしょそんなの。

こいつアホなのかなって思ったわ。でも依頼だからやったのよ。

玲子:え?あれ?

…なによこれ、聞いてた話と違うじゃない(小声で)

祐磨:もう今日までかかってね、やっと帰れて寝てたんだよ。あーめんどくさ。

で?お宅依頼?まぁ座って。お茶入れるから。

玲子:あ、はい。どうも…(座る)

祐磨:ほいどーぞ。で、今回はどのようなご用件で?

玲子:はい、この子を探してほしいんです。(写真を出す)

祐磨:ほ~ん、娘さん?

玲子:はい、真夜と言います……一週間前から家に帰ってなくて警察にも届け出をしたんですけどまだ何も。

祐磨:いなくなったその日は何かあったりとかは?

玲子:いえ、普通に学校から帰ってきてご飯たべて…そのあといつの間にかいなくなってました。

祐磨:なるほど。

玲子:家出するような事は絶対しない子なんです。本当にいい子なんです…お願いです!娘を探してくれませんか?

祐磨:ん~……断る(頭をぼりぼり)

玲子:え?なんでですか??

祐磨:いやだって俺きょう帰ってきたんだよ?もうクタクタ。他当たってくれる?

玲子:金ならいくらでも出します。

祐磨:……ほう?

玲子:ここに100万あります。これで探していただけませんか?

祐磨:ずいぶんとでかく出るねぇ。逆に何か裏があるんじゃないかって思っちゃうんだけど?

玲子:あの子が心配なんです。あの子に万が一の事があったら私…(泣き始める)

祐磨:(溜息)…わかりましたよ。お受けします。

玲子:ありがとうございます!本当にありがとうございます…娘を、どうぞ宜しくお願いします…(深々と頭を下げる)

祐磨:まぁ期待しないで待っててくださいね。何かありましたら連絡します。

玲子:はい、それでは失礼いたします。


事務所をでる。


玲子:(ガラッと変わり)頼りない感じだったわね。これで見つかるといいけど…あの子は私の大事な……絶対に探し出すわ。


祐磨:さてどこから探したもんか…(欠伸しながら)

祐磨M:依頼人からメールをもらった情報を元に、学校、近所のよく行く場所、塾など様々な場所を確認したが、全く手掛かりがみつからなかった。

祐磨:まぁそう簡単に見つかるわけないか。さてアイツに頼むとしますかね…

祐磨:ち~す。

四月一日:おー祐磨殿お待ちしておりましたぞ。いやはや帰ってきてばかりなのに大変ですなぁ。

祐磨:ほんとだよやっとゆっくり寝てたのに(溜息)まぁ、謝礼が大きかったから受けちまったんだよねぇ…(ボリボリ)

四月一日:繁盛そうで何よりですな。して今回はどのようなご依頼で?

祐磨:あぁ、この子を探してほしい。(スマホの写真を見せる)

四月一日:ほう!これはかわいい娘さん!この子の捜索ですかな?

祐磨:あぁ。その子は真夜ちゃん。2週間前から行方不明らしい。行きそうな場所探したけどてんでダメ。

四月一日:それで僕の所に来たとふむ…(ゴソゴソ)

祐磨:まあなぁ、まだ疲れたまってんだよ。これ以上歩きたくないしな。

四月一日:へへっ確かにですな。そしたらコレで手を打ちましょう。

四月一日は祐磨に一枚のメモを渡した。

祐磨:あぁ?なんだコレ……げ。

四月一日:今から僕はこの子の足取りを確認しますので、この特選チーズケーキを買ってきてください。

いつも並んで買ってるのですがすーぐなくなるんですよ。今日も行く予定だったのに依頼が入ったので行けなくなりました。

祐磨:で、代わりに買ってこいと……ここ行列店だろ。めんどくさいわ。今度でよくない?

四月一日:ダメですぞ!!この特選チーズケーキは僕の栄養源なんです!毎日食べないと発狂してしまいます。

祐磨:発狂って……

四月一日:とにかく!よろしくお願いしますぞ!祐磨殿が帰ってくる頃にはこの娘さんは見つけておきますゆえ!!

祐磨:はぁ、わぁったよ!行ってくりゃいいんだろぉ……疲れてるっていうのにこういう仕打ちすんのねお前。

四月一日:へへっ、本来ならかなりの額を頂いてるのですが、昔のよしみで僕のお手伝いで済んでるのですから。

祐磨:へぇへぇ。

四月一日:それでは頼みましたぞ祐磨殿。

祐磨:あいよ。


とあるクラブ前


祐磨:いやいや本当に見つけてくるんだもんなぁ。にしてもこんなところにいるのかね。

祐磨M:俺が来たのは渋間区のとあるクラブ。最近ここに入り浸っているとの情報だった。

祐磨:見つかるといいんだけどね。

ドアを開けて入っていく。

祐磨:昼間だってのに元気だなぁ……お?

カウンターで飲んでいる女の子を見つける。

写真と特徴を確認したがほぼ同じである。

祐磨:いってみますか。

ねぇ…キミ?

真夜:ん?なに?

祐磨:こんな時間にこんな所にいて大丈夫?

真夜:は?

祐磨:どう見ても成人してはないよねぇ、学校はいいのかな?

真夜:しらなーい。サボり上等だから。

祐磨:ははっ、未成年は認めるんだね。

真夜:…うざ、あんたダレ?

祐磨:俺?通りすがりの人だよ。キミが可愛いから声かけちゃった。

真夜:あっそ、どーでもいいわ。

祐磨:あははは。

真夜:あたし、話すことないんだけど。悪いけどどっか行ってくんない?

祐磨:いや俺は用があるからさ、一緒に話しようよ。

真夜:だからさぁ、なんなの?うざい、消えて。

祐磨:おや酷い。

真夜:いい加減いなくなってよ。あたしはあんと話したくない…

祐磨:(被せて)真夜ちゃんだよね?

真夜:え?

祐磨:俺は便利屋の祐磨。あんたのお母さんに頼まれて探しに来たんだよ。

真夜:っつ!!

祐磨:おっと。

真夜は急いで逃げようとするが、手首を掴まれて捕まる。

真夜:クソッ!離せよ!!

祐磨:離したらキミ逃げちゃうでしょ?

真夜:当り前だよ!あたしはあんな所に二度と帰りたくねぇ!!

祐磨:ダメだよ~お母さんが心配してるよ。家出娘はおとなしく帰りましょうね。

真夜:ぜってぇ嫌だ!!

祐磨:はいはい、よいしょっと。

真夜:わ!わわっ!

真夜を肩に担いで祐磨は歩き出す。

真夜:なにすんだよ!離せ!!下ろせっ!!!

祐磨:うるさいよ。耳がキーンとなるからおとなしくしてて。

真夜:はーーーーなーーーーーせーーーーーーーーー!!!!!

祐磨:はいはい暴れない暴れない。

(ん?何か当たったような…)

真夜:マジでてめぇ…いい加減にしろよ!!

祐磨:痛っ

担いでた腕を噛み、よろけたところから逃げる真夜。

真夜:バーカ!あたしをさらおうなんざ5億万年はえええんだよ!じゃあな!!

祐磨:っ…いってぇ………なにあの子、めっちゃじゃじゃ馬じゃねぇの。くっそ、逃がすかよっ!!

祐磨:おい!待てって!!

真夜:ちっ、しつけぇなぁ!追っかけてくんなよ!

祐磨:こっちはお金貰ってるの!生活費!逃がすわけにはいかないの!

真夜:てめぇの生活費なんか知るかよ!野垂れ死ね!!

祐磨:ちょっと!お口が悪すぎじゃない?

真夜:バーカバーカ!

祐磨:くっ、この!

真夜:うおっあぶねっ……あ!

祐磨:あ?

祐磨が真夜を肩を掴もうとするが、ギリギリ避けられてしまう。

が、何かを掴んでいる。

祐磨:これは……ウィッグ?

真夜:か、返せ!!

祐磨:おっと


ウィッグを取り返し付け直す真夜


祐磨:お前さん、男?

真夜:……い、今見たことは忘れろ。

祐磨:あぁ、だから担いだときになんか当たってるなぁとあれはちん…

真夜:言うんじゃねぇよバカ!!(思いっきり殴る)

祐磨:いってぇ!!

真夜:とにかく!僕はもう帰らねぇからなあんな女の所には。

祐磨:それは俺も困るんだよなぁ…依頼金もらっちゃってるし。

キミをお母さんの所に帰したらおわりなのよ。おとなしく帰らない?

真夜:嫌だ。

祐磨:頑なだねぇ、そんなにお母さん嫌いなの?

真夜:あんなのは…母さんじゃない、あいつは……

祐磨:なるほど、訳ありなのね。

よかったら話してみない?

真夜:え?

祐磨:ちょっとね気になることもあったし。

それに…母親嫌いだったのは俺も一緒だからさ。

真夜:そうなのか?

祐磨:俺の親も離婚しててね、母親に引き取られたんだけど……まぁ酷かったよねぇ。

散々罵られるし殴られるし、たまったもんじゃないよね。

しまいには「あんたなんか生まなきゃよかった」だってさ。はは笑える。

真夜:……

祐磨:今はこうして生きているからいいんだけどね、昔のことだし。人生いろいろよ。

真夜:…そっか。

祐磨:うん。

真夜:……

祐磨:……(煙草を吸い始める)

真夜:…………母さんは父さんの再婚相手だったんだ。

祐磨:ん?

真夜:僕の本当の母さんは小さいときに事故でなくなった。

「これからこの人がお前の母さんだ」って父さんが母さんを連れてきた。

最初はすごくいい母さんだったんだ。一緒に遊んでくれたり、お話したりすごく楽しかった。でも着せてくれる服は全部女の子の服だった……母さんは女の子がほしかったんだ。

祐磨:……

真夜:母さんはもう子供が産めない身体だったらしくてだから僕を女の子として育ててたんだ。子供の時は違和感なんかなかった、でもだんだんおかしいと思うようになって僕は母さんに頼んだんだ。男の子の服も着たいって、こんなのおかしいって。でも母さんは許してくれなかった。母さんに思いっきりぶたれた。そのまま蹴られたり何度も何度もぶたれた!!

祐磨:うん…

真夜:ごめんなさいってたくさん謝ってやっと許してくれたけど女の子になることはもう拒めなくなった!父さんが止めに入っても収まらなくて……でもその後父さんが急に亡くなった。今の母さんは父さんの生命保険で贅沢三昧してる……殺したのはきっと母さんだ。絶対母さんに決まってる。だれも母さんを止められない。もう僕は母さんの操り人形。もうこんな家耐えられなかった…

祐磨:そっか。

真夜:家出した後転々として、持ってきた金でメンズ服も買ってみたけど…着れなかった。

着るたびにあの女がでてくる…怖くてどうしても着れなかった。仕方ないからこのまま女性の服でいたんだ。

祐磨:……

真夜:なぁ…僕を家に帰すのか?

祐磨:それが仕事だからな。

真夜:そっか…

祐磨:……ただなぁ

真夜:……

祐磨:僕はそういう大人は大嫌いなんだよ。

真夜:え?

祐磨:お前、僕に依頼しなよ。

真夜:え?それ…どういうこと?

祐磨:お前を誘拐してやるよ。

真夜:誘拐…?

祐磨:あぁ。お前を誘拐してあの家から放ってやるよ。

真夜:ほんとに…?

祐磨:俺は便利屋だよ、依頼をされればなんでもやる。

真夜:……ッ(泣く)

祐磨:さぁ依頼を言いな。

真夜:ぼ、僕は、僕をゆぅか…ぃ……ッ(泣きすぎてうまく言えない)

祐磨:さぁ言いな!

真夜:……っ、ぼ、僕をっ!誘拐してくれ!!あの家には帰りたくない!!

祐磨:…依頼うけとったよ。


祐磨:ということでだ、四月一日お前も手伝ってほしい。

四月一日:ふむふむなんともにっくき母上…わかりました。それなら僕も力を貸しましょう。

祐磨:さんきゅー

四月一日:それで僕は何もすればいいのですかな。

祐磨:あぁ、こいつの父親を調べてほしい。

四月一日:父上殿ですか……(キーボードを打つ)既に他界されてますね。

祐磨:そいつが何で死んだのか調べてくれ、あとこれも用意してくれないか(四月一日にメモを渡す)

四月一日:えぇ、それくらいならお安い御用です。少しお時間をいただけますか。

祐磨:あぁ、問題ない。頼むわ。

四月一日:承りました。

真夜:なぁ、何をするんだ?

祐磨:ん?お説教たーいむだよ。

真夜:お説教たいむ??

祐磨:毒親なお母様には熱ーいお灸を…ね?


数日後


玲子:え?あの子を見つけたって本当なんですか?

祐磨:はい、見つけて保護してあります。時間がかかってしまい申し訳ございません。

玲子:いえいいんです!あぁ…っありがとうございます。ありがとうございます。

祐磨:そのままお連れ致しますんで、家でお待ちいただけますか?

玲子:はい!お待ちしております。ありがとうございました!

(電話を切る)

これでようやく安心できるわ…帰ったら二度とこんなことさせないように閉じ込めなきゃ。

あの子はあたしのよ。あたしの子……ふふふ


真夜:本当に大丈夫なのか?

祐磨:大丈夫だって、俺を信じなさい。それより本当にいいんだな?

真夜:……うん。

祐磨:後戻りはできないよ?

真夜:僕はもうあの家に戻りたくない……やってくれていい。

祐磨:そうか。

四月一日:そろそろ準備できましたが祐磨殿よろしいですかな?

祐磨:あぁ、行こうか。


祐磨:どーもーお届けに来ましたよ。

玲子:あぁ待ってましたわ!本当にありがとうございました…なんてお礼を言ったらいいか。

祐磨:これも仕事ですから。

玲子:これはお礼です、受け取ってください。

祐磨:いやいやそんな、あんなに前金も受け取っているのに

玲子:いいんです、これは私の気持ちです。どうぞお受け取りくださいませ。

祐磨:……そうですか、なら遠慮なく。ありがとうございます。では俺はこれで。

玲子:はい。ありがとうございました……

(ドアが閉まる)

真夜……あなた本当に悪い子ね。どうしてこんなことしたの?

真夜:……

玲子:なんとか言いなさい。あなたを探すためにどれだけのお金を使ったと思ってるの?

真夜:……

玲子:なんで黙ってるの?それにいい加減そのフードを取りなさい!!(フードを外す)

四月一日:ばぁあ。

玲子:え?きゃああああああああ!

四月一日:へへ、どうもお初にお目にかかります。

玲子:だ、だれよあんた!誰なのよ!!

祐磨:そいつは四月一日です、俺の仲間ですよ。

玲子:あなたは…

祐磨:便利屋の祐磨でーす、以後お見知りおきを。

ま、と言ってもあなたはもう死ぬんですけどね。

玲子:え?(注射を打たれる)

…なっ………あ、あぁ、なにこれ…身体が…

祐磨:それ筋弛緩剤、あんたはもう動けないよ…

俺はさ、あんたみたいな親大嫌いなんだよね…子供をなんだと思ってんの?

あんたのお人形さんじゃないんだわ。

玲子:一体何を…(なにこれ身体が動かない)

祐磨:全部聞いたよあの子から。お前さん最低な親だな…

玲子:は?

祐磨:女の子が欲しかったけどできなかったからってそれをあの子に押し付けるなよ。

それと、父親を殺したのものあんただろ?

玲子:な、なに言ってるの…あの人は

祐磨:(被せて)今あんた旦那の生命保険で生活してるんだって?

調べさせてもらったよ、旦那は酔っぱらった男に絡まれ口論になりそのまま刺されて死亡。

多額の生命保険がかけられてたんだってな、その受取人はあんただ玲子さん。

そしてその酔っぱらった男は一度は捕まったが釈放されている。保釈金でな。

玲子:……

祐磨:その生命保険金で雇った男だったんだな。

玲子:……

祐磨:そんな奴の所にあの子は渡さない。だから死んでくれない?

玲子:…あんたに、あんたに何がわかるのよ!子供を産めなくなったあたしの何がわかるの??産めるなら産みたかったわよ女の子を!女の子が欲しかったのに!あたしの夢だったのよ!可愛い娘と一緒にいろんなところに遊び行ってお洋服もお洒落させて…

それをなんでわかってくれないの!

祐磨:それもう調べついてるから。あんた病気になって子宮を摘出したんだってな。

それで子供を産めなくなったのは同情するが、あの子は関係ないだろ。

玲子:私だってあの子を愛したかったわよ!でもあの子は男の子。すごく憎んだわ。

もう子供を産めなくなった私にはあの子しかいなかったのに…

本当に可愛かったのよ……でも大きくなってやっぱり女の子じゃないのよ!

ごつごつしてきて男の身体になってくの……気持ち悪くて見てられなかった。

祐磨:…おい

玲子:だんだん私にも反発してきて逆らうようになって許せなかった。だからあれは躾よ。母親がやることなのよ。

なのにあの人もうやめてくれってあの子は女の子じゃない、俺の息子だなんていうから……ムカついて殺したのよ!!

祐磨:……ふざけんな

玲子:あの子は男の子じゃない!女の子なのよ!私ができないことを知った神様が私にくれた宝物なのよ!!

誰にも渡さないわ!!

祐磨:もういいわ……お前さん逝けよ。


ロープが玲子の首に巻きつく、解こうとするがさっきの注射のせいで身体がまったく動かない


玲子:あ!あぁ……あ、あ………あ

いやぁ…真夜ぁ……あ、ああ………ああぁぁ…あっ

祐磨:四月一日いいぞ、火を放ってくれ

四月一日:はいはい祐磨殿。そぉれ!ずらかりますぞ!

祐磨N:あいつの帰す家を失くしてしまったがこれでいい。これ以上俺みたいなガキを作らないためにもこれで…

真夜:さよなら父さん…

祐磨:真夜、これをやる。

真夜:これは…

祐磨:これさえあれば当分はひとりでもやっていけるさ、受取人をお前にしてある。

明日、四月一日と一緒に取りに行ってきな。

真夜:……

祐磨:これでもう自由だ。あとは好きにしな。

真夜:…僕、あんたと一緒にいちゃだめかな?

祐磨:ん?

真夜:どうせ行くところないし…僕を雇ってくれないか?

祐磨:お前…

四月一日:いいんじゃないですか祐磨殿。

祐磨:四月一日…

四月一日:真夜殿の言う通りもう帰るところはないのです、大金をもっていたとしてもこの年齢では賃貸は借りれません。

ここはひとつ祐磨殿が引き取って養子にしてしまえばいいのです。

祐磨:なっ!

四月一日:いかがですかな祐磨殿。

祐磨:いやにしたってお前……俺はこの通り人殺し。それでもいたいってのか?親の仇なのに。

真夜:でもあんたは僕を救ってくれた。あの家から救い出してくれたのはあんただ。

だからあんたに恩返ししていきたい。

四月一日:そうですとも、便利屋の祐磨殿はとても忙しい。猫の手も借りたいところ。いいじゃないですか。

祐磨:(溜息)わかったよ…しょうがねえなぁ。これも誘拐してしまった俺の落ち度だからな。

真夜:ありがと!

四月一日:そうと決まれば祐磨殿。いろいろ書類を書いてもらう手続き等は僕がやっておきます。

で、今回の依頼料はざっとこんくらいで…(電卓を見せる)

祐磨:げっ!お前これは高すぎだろ~少しは負けろよ…

四月一日:どうせ保険金が入るのです、いいではないですか。

祐磨:そうだけどよぉくそ~

真夜:なぁ!!

祐磨:ん~?

真夜:これからよろしくな祐磨さん!

祐磨:おう



※JACK OAT  Jack of all trades=なんでも屋の略

せいとの妄想のなれの果て

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